申し訳ありませんが、マージャンの話が多いです。 特に気にせず、さらっと流して頂けると嬉しいです、あまりつっこまれると、そんなに詳しくないので!すみません! 西武家+M有楽町 「1,2,3,4.よし、4人いるな!」 「焦ったよなー、急に西武秩父が行けないとかいいだして。」 「まったく、遅延もしてないのになぁ。」 「なんでも、秩父鉄道と飲みにいく約束があったらしい。」 「きっちりスケジュールを確認しないからこういうことになるんだ!」 場所は所沢駅西口前。私服3人に、スーツのままの有楽町は納得行かない気持ちで混じっていた。 「先に飯食っていかない?」 「私は池袋で食べてきた。」 「俺も新宿で食べてきた。」 「えー、じゃあ有楽町は?何か食べた?」 拝島に声をかけてもらえて、ようやく有楽町は気まずさから少し開放された。 「いや、俺もまだ。」 「でもこんな時間に食べるもんないしなぁ。いいや、いってから食べよう。有楽町もそれでいい?それとも牛丼でも食べ ていく?」 「いや、いいや。なんか適当に頼む。」 「よし、じゃあ別にいいな?行くぞ。」 「今日こそは!」 「新宿は顔に出すぎるんだよ。」 「・・・あの、俺初めてなんで優しくしてね・・・」 三人が振りむいた。 「男の勝負だからな!」 なんで西武秩父が逃げたか、西武池袋と西武拝島のにんまりとした顔を見てわかった気がした。 「飲み物は?」 「俺コーラ。」 「ありあり。」 「あつちゃ。」 「・・・ウーロン茶で。」 なんか暗号のような言葉が飛び交っているけれど、それがわかるほど有楽町は来たことがある種類の店ではなかっ た。 「ではルールを確認するぞ、お前のためなんだからよく聞け。」 「はいはい。」 「食いタンあり、馬・季節牌なし。チョンボは八千点。東場は親テンパイでも流れて、南場は流れない。トップが3万点 超えていなかった場合西入。わからないことあったら聞いてね。」 「ありがとう西武拝島・・・」 「俺もいまだによくわかってないし、大丈夫だ有楽町。」 「今日はお前ら優しいな、西武新宿・・・」 「では本日のレートだが、テンピンでいいか?」 「いいよ。」 「意義なーし。」 「え・・・俺まだみんなの強さとか全然わかんないんですけど。」 「じゃあテン3で。」 「まぁいいや、初めてだしね。」 「西武池袋はいざとなればツケといてくれるぞ!」 「あ、うん、ありがとう・・・」 「じゃあ始めるぞ。・・・新宿、押せ。」 「はいよ。・・・有楽町、仮親。」 「うん。・・・親、西武池袋だ。」 「む、しょっぱなから親か・・・」 「ぐだぐだ言わずに牌もってってよ」 「わかっている、次は新宿だぞ。」 「はいはい。」 「ドラはイーピン。」 「嫌なドラだなぁ・・・」 「有楽町、西武池袋はタンヤオが好きなんだぜ。」 「余計なことを教えるな!有楽町、西武新宿は配牌が悪いとすぐ国士無双を狙うんだぞ!」 「まぁそこらへんはあんまり気にしないで打ちなよ。はい、有楽町の。」 「ありがとう。」 開いてみると、有楽町の手配は悪くない。 (リーピンドラ1、リャンシャンテン、結構好調じゃん。) 「でさ、今日のお昼頃なんだけど、ちょー!!!可愛い子が乗ってきてた!」 「女の子好きだよね、拝島。」 「もちろん、堤会長ほどではないけど。」 「当たり前だ、そんな女になどうつつを抜かして!私は堤会長以外に好意を持たないぞ!」 拝島と新宿の、あーかわいそうという視線が突き刺さって、有楽町はまたいたたまれなくなった。 (わかってるなら誘わないで!西武池袋がいるならいっちゃうんだから!) 「そうだ、有楽町何食べる?僕は焼きソバ。」 「うーん、何がある?」 「はいコレ、メニュー。」 「そうだなぁ・・・俺も焼きソバ。」 「雀荘って焼きソバって気するよね!」 「そうだな。(本当は大してきたことないから別にそうでもないけど。)」 手牌は良かったがそこからなかなか進まず、半分くらい進んだとき。 「リーチ」 西武池袋のリーチに、西武新宿と西武拝島が露骨に嫌な顔をした。 「うっわー、折角楽しく談笑していたのに水を差すなんて!」 「そうそう!オープンしろよ!」 「・・・いったな新宿、ならオープンするぞ。」 「いや、しなくていいんじゃないかな・・・」 有楽町の制止は全く役に立たず、池袋の牌がパララっと倒された。 「イースーチーピン3面待ち。」 どれも大して場に出ていない。12枚中5枚、オープンするに十分だろう。 「くっそー、とりあえず、アンパイでいこっと。」 新宿が南を捨てる。 「僕も・・・」 拝島が白を捨てる。 「アンパイ・・・捨てるしかないなぁ・・・」 頭は仕方ないか、と頭の3マンを捨てる。 「さて、一発はくるかな?」 パンと場に置かれた牌は、イーピン。 「ツモだな!・・・裏は乗らないかったが、プンリー即ヅモドラ2!親ッパネ!」 きゃっきゃと喜ぶ西武池袋の笑顔をは今まで見たことない程無邪気で輝いていた。 「オール八千点だっ!」 「くっそー・・・」 「まぁ、仕方ないよね・・・」 「・・・(無言)」 「そんな落ち込まずとも、次に勝てばいいではないか。」 「・・・はい。あ、ちょっとトイレいってくる。」 「ああ。」 トイレに入って、有楽町は押さえていた表情を一気に緩ませた。 (西武池袋があんなに幸せそうに微笑んでくれた上に、優しい言葉まで・・・!) もう振り込んでもいい!とガッツポーズを決めた。 「来て良かった!」 その後、有楽町もまぁまぁ勝ち、結局プラス500円というマイナスじゃないからいっか、というところで終わった。 「結局また負けた・・・」 「いいじゃない、今回は三千円でしょ?場代は僕が払うし。」 「そうだぞ、私だって今回は負けたのだ。」 「最初はついてたのにね、残念。ま、たまには勝たせて頂かないと。」 五千円勝った西武拝島だが、場代と「せっかくきてくれたんだから」と有楽町の食事・飲み物代も払った。 店をだらだらと出て所沢駅に向かう、向かう先には西武線各線が住む宿舎がある。 西口から東口に向かってだらだら歩きながら、有楽町は嫌な気しかしなかった。終電はとうにないし、かといって始発 には程遠い時間なのだ、明日のことを思えば多少眠れるのは嬉しい、でも自分の部屋に戻る方法はない。 「さーて、今日は解散。明日もお仕事がんばりましょう!」 「おう!」 「もちろん、堤会長の御名を汚さぬよう、遅延・運休もってのほか!」 「じゃあ解散!」 「ちょっと待ってくれ!」 西武拝島が、あ!と小さく叫んだ。 「有楽町帰れないじゃん。」 「・・・西口になら満喫があったのに。」 「わざわざ越させて満喫じゃ可哀相じゃない?」 「うん、俺も今日ばかりは思う。満喫じゃゆっくり眠れないし。」 「なんだ貴様ら、営団なんぞに客間を貸せというのか!?」 「いや、普段なら言わないけど、明日も仕事あるのに来てくれたし。」 「そもそも、西武池袋がどうしても今日もやりたいっていったんだよ。」 西武新宿と西武拝島は有楽町の方を向いてにんまり笑った。 「客間は無理でも、西武池袋の部屋に泊めてあげたら?」 「それでいいよ、俺ら眠いから先帰るわ。おやすみー」 「おやすみ、有楽町。また打とうね。」 「おい、お前ら!!」 ひらひらと手を振り、逃げるような早足で宿舎に消えていく二人に怒鳴ろうとして、西武池袋は大きく息を吸ったが躊 躇ってそのまま吐き出した。 「・・・ああもういい、私も早く眠りたい。いくぞ、床でもかまわんな?」 「あ、うん。全然いいよ!」 「なら着いて来い・・・」 オートロックのマンションの最上階にエレベーターは止まる。ガチャリとカギを開ければワンルームのベッドとソファ、テ レビ、パソコンと、生活臭のないホテルのような部屋だった。 「おじゃまします。・・・意外だな。もっと、キッチンとかしっかりしてるんだと思ってた。」 「食事は別の部屋で皆でそろってする。ここは会社から支給されている各自の部屋だ。」 「ふーん、お前ら大家族っぽいから同じ家に住んでると思っていたよ。」 「夜が遅く朝が早い仕事だからな。今みたいなとき、他のものに迷惑をかけないようにと寝室は別にされている。」 「たしかにね、夜って音気になるし。」 「だから静かにな。シャワー浴びるか?」 タオルを渡され、厚遇に有楽町は驚いた。 「私のでよければ部屋着も貸すぞ。」 「あ・・・ありがとう!」 西武池袋の服を着られるなんて!と、西武池袋の気が変わらないうちに、変に見られないように極力落ち着いて服と タオルを受け取り、ユニットバスの風呂に入る。 「そうそう、シャンプーとか適当に使ってくれ。」 「わかった。」 二人ともシャワーを浴び、いざ寝ようとなると、ぽんぽんと西武池袋がベッドの端をたたいた。 「客用の布団があるはずのところになくてな。仕方ないから一緒に寝るぞ。」 「え!?」 「なんだ、嫌か?なら拝島か新宿をたたき起こしてそちらで寝ても良いぞ。」 「いや、布団なくても床に寝ろとかいわれると思ったから・・・」 「床で寝たいなら別にそれでいいぞ。あと、朝食はないからな。自分のところで食べろよ。」 「ああ、わかった。」 ベッドはそう大きくない。二人で並ぶとどうしても体温が伝いあう。西武池袋は疲れていたらしく背を向けてすぐに寝息 を立て始めた。すーすーと息が聞こえる場所で、ちょっと足なんて触れちゃったりしながら有楽町が眠れるはずもな く・・・ 「起きろ、有楽町!貴様いつまで眠っているつもりだ!」 目がぱちっとさめたが、ここがどこだかわからず目をぱちぱちさせる。自分の部屋にあるはずのものがなく、部屋にな いはずのものがある。とくに、西武池袋。 「重いんだ!早くどけ!」 10cmもない距離に西武池袋の顔が、カラコンを入れていない黒目の西武池袋の顔があって、何をどうしたらいいの かさっぱりわからなかった。 「どけ!起きないと間に合わないだろうが!」 「あー・・・うん。」 目は覚めているが、夢うつつでよくわからず、腕の中に西武池袋がいて、起きているような気がするけど夢なんだろう とぎゅっとより強く抱きしめた。 「貴様!いい加減にせんか!」 力ずくで西武池袋が有楽町の腕から抜け出すと、全力で拳を振り下ろした。 「!!!」 目の前に星がぱちぱちと飛び交うような痛みが脳髄を襲い、有楽町は一気に現実に戻された。 「早く自分の宿舎に帰れ!」 「でも電車が・・・」 「よく考えたらお前が始発を待ってどうする!タクシーで行かないと有楽町線の始発が間に合わないだろうが!」 「!そりゃそうだ!急がないと!」 パジャマのまま走り出そうとした有楽町を西武池袋が押さえた。 「服は着替えろ。」 西武池袋がタクシーチケットを渡してくれたのでありがたく使ったら後日しっかり請求書が来ていた。でも、あの一晩は まるで嘘のようで、何度も何度も反復しては副都心にからかわれた。 (10月15日) |